「とにかく数書けばいいんでしょ?」——焦りから始まる第6話。
レビューが当たらず、次に選んだのは“量産”。
でも、増えたのは記事数だけだった——。
第六話「とにかく数書けばいいんでしょ?」って焦った放課後——記事だけ増えて何も変わらなかった話
「とにかく…数書けばいいんでしょ?」
放課後の部室。
机の上には、開きっぱなしのノートパソコン。
昨日のレビュー記事は——何も起きなかった。
その“無反応”だけが、まだ残っている。
紬
はにゃ…いっぱい書いたら…どれか当たるよね…?
不安を隠すみたいに、言葉が軽くなる。
“当たる”という言葉だけが、やけに浮いていた。
澪
いいじゃん!とりあえず書こう!やってみよう!
また、背中を押される。
考える前に、進む。
それしか、今はできなかった。
——その日から。
紬は、とにかく書いた。
短い記事。
似たような内容。
タイトルだけ変えた記事。
——とにかく、増やした。
カタカタカタカタ。
部室に、キーボードの音だけが響く。
気づけば、日が沈んでいた。
また別の日。
また放課後。
同じ席で、同じように書く。
“考える時間”は、どんどん減っていった。
代わりに——。
記事の数だけが、増えていく。
3記事。
5記事。
8記事。
画面の一覧が、少し賑やかになる。
それだけで、少し安心した。
——やってる感はある。
でも。
ふと、手が止まる。
(これ…意味あるのかな…)
すぐに、その考えを振り払う。
——考えたら止まる。
だから、また書く。
数日後。
紬は、画面を開く。
少しだけ期待していた。
——今度こそ、何か変わっているかもしれない。
表示された数字は。
……ほとんど、変わっていなかった。
アクセス、微増。
クリック、なし。
収益——0円。
静かに、息を吐く。
胸の奥が、少しだけ重くなる。
紬
はにゃ…増えたのに…
画面には、確かに記事が増えている。
でも。
結果は、ほとんど変わらない。
(なんで…?)
問いだけが、残る。
答えは、まだない。
部室の外から、また声が聞こえる。
誰かの笑い声。
走る音。
時間は、ちゃんと進んでいる。
でも——。
ここだけ、止まっている気がした。
紬は、もう一度画面を見る。
増えた記事。
変わらない数字。
その違いが、じわじわと広がっていく。
(数…だけじゃ、ダメ…?)
小さな違和感。
でも、それはまだ言葉にならない。
理解には、届いていない。
それでも——。
次に進むしかない。
紬の指が、またキーボードに触れる。
今度は、少しだけ迷いながら。
白い画面が、静かに待っている。
——何を書けばいいのか。
まだ、わからないまま。
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