「書いてみよう」と決めたのに、指が止まった。
何を書けばいいのか、どう始めればいいのか分からない。
“初投稿”という見えない壁にぶつかる。
第三話 「書こうとしても何も出てこない…」初投稿で9割が止まる理由
「……よし」
夜。
昼間とは違う、静かな空気。
ノートパソコンの光だけが、やけに強い。
澪は、画面の前に座っていた。
真っ白なページ。
タイトル欄も、本文も——空白。
カーソルだけが、点滅している。
さっきまであった“やる気”は、どこかに消えていた。
澪
……何書くんだっけ
ぽつりと漏れる。
分かっているはずだった。
ブログは「困ってる人に答える場所」。
じゃあ——何に困ってる人?
答えが、出てこない。
隣で、紬がのぞき込む。
紬
書かないの?
シンプルな一言。
でも、胸に刺さる。
澪
書くよ!…書くけど
言いながら、指は動かない。
“書く”って、こんなに難しかったっけ。
頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
正解を書かなきゃ。
ちゃんとした記事にしなきゃ。
失敗したくない。
——その全部が、指を止めていた。
沈黙。
カチ、カチ、と時計の音だけが響く。
紬は少し考えて、ぽつりとつぶやいた。
紬
さっきのやつ書けばいいんじゃない?
澪が顔を上げる。
「さっきのやつ?」
紬はうなずく。
紬
ブログって何?ってやつ
その瞬間、少しだけ時間が止まった。
——あ。
頭の中で、何かがつながる。
さっき、自分たちが話していたこと。
まさに、“困ってたこと”。
それを、そのまま書けばいい?
そんな簡単な話?
でも——
それなら、書ける気がした。
澪
……それ、ありかも
指が、少しだけ動く。
キーボードに触れる感触。
でも、まだ止まる。
“どう書く?”
また壁が来る。
文章の形。
構成。
全部、分からない。
さっきより進んだはずなのに、また止まる。
その繰り返し。
紬は、じっと見ていた。
そして、少しだけ首をかしげる。
紬
そのまま書けば?
澪が固まる。
「そのまま?」
紬は、あっさりと言う。
紬
紬が分かるように書けばいいんでしょ?
その言葉で、静かに何かがほどけた。
難しく考えすぎていた。
“正しい記事”を書こうとしていた。
でも——違う。
“分からない人に伝える”だった。
紬に伝わるなら、それでいい。
それが、最初の一歩。
澪
……やってみよう!
その一言で、空気が変わる。
指が、今度は止まらなかった。
完璧じゃない。
むしろ、ぐちゃぐちゃだ。
でも——書けている。
それだけで、十分だった。
画面の白が、少しずつ埋まっていく。
ゼロだった場所に、言葉が乗る。
それは、小さいけど確かな前進だった。
紬はその様子を見て、少しだけ笑った。
理解したわけじゃない。
でも——動き始めた。
それが、分かった。
澪は画面を見つめる。
まだ完成じゃない。
でも、もう止まってはいない。
“初投稿”という壁は、少しだけ崩れた。
——その先に、何があるかも知らずに。
▶ 前回:
第二話「ブログって何もわかんないんだけど…」
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「半年で稼げなきゃ終わり」って言われた日——お金ゼロからのブログ|1ヶ月まとめ


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