「いいね…0?」——期待した瞬間、崩れる第12話。
逃げた先で、何か変わると思っていた。
でも、画面は何も変わらなかった。
SNSならいけると思ったのに…いいね0で全部崩れた日
「……え?」
紬
いいね…ついてない…
スマホの画面。白いままの数字。
投稿してから、何度も更新した。
でも、変わらない。
「0」のまま。
澪
え?さっき投稿したやつ?
紬
うん…ブログより簡単だと思ったのに…
校舎の窓から差し込む光が、少しだけオレンジに変わり始めている。
放課後の空気は、やけに静かだった。
——逃げたつもりだった。
ブログがダメなら、SNS。
もっと気軽で、すぐ反応がもらえる場所。
そう思っていたのに。
何も、起きていない。
澪
でもさ!まだ時間あるって!
澪
ちょっとしたら増えるかもよ!やってみよう!
その言葉に、紬は小さくうなずいた。
でも、指はまた更新ボタンを押している。
……変わらない。
一つも。
増えない。
「……」
胸の奥が、少しだけ重くなる。
ブログのときと、同じ感じだった。
——何も起きない時間。
「簡単」だと思っていたのに。
「すぐ反応くる」って聞いたのに。
現実は、変わらない。
紬
なんで…?
ぽつりと落ちた言葉。
誰に向けたものか、自分でも分からない。
そのとき。
カツン、と机に何かが当たる音。
琥珀
つまり、変わってない
顔を上げると、いつの間にかそこにいた。
窓際、少しだけ離れた位置。
視線は、スマホではなく、紬の方を見ている。
紬
……え
琥珀
場所だけ、変えた
言葉が、ゆっくり落ちる。
逃げた先。
SNS。
でも、やっていることは——
変わっていない?
琥珀
期待だけ、増やした
ズキ、と胸が刺さる。
確かにそうだった。
「SNSならいける」
「今度こそ反応くる」
そう思っていた。
でも——
現実は、同じ。
0。
「……」
言葉が出ない。
否定できないから。
ただ、視線だけが落ちる。
スマホの画面に。
変わらない数字に。
——何かが、崩れる音がした。
小さく。
でも、確かに。
紬
……どうしたら、いいの
その声は、少しだけ震えていた。
でも、琥珀は答えない。
視線を外し、窓の外を見る。
沈黙。
長く感じる、数秒。
——答えは、もらえない。
気づくしかない。
自分で。
風が、少しだけ教室に入ってきた。
紙が揺れる。
スマホの画面も、変わらないまま。
「0」。
——それでも、目を逸らせなかった。
——それでも、1つだけ変わった。

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